ソウル特別市地下鉄公社4000系電車(ソウルとくべつしちかてつこうしゃ4000けいでんしゃ)は、ソウル交通公社(旧:ソウル特別市地下鉄公社→ソウルメトロ)の通勤形電車。首都圏電鉄4号線で使用される。

概要

直流専用車は、榛接線とソウル交通公社4号線の直流区間のみ(ただし、実際は折り返し設備のある舎堂駅までの運行となり、南泰嶺駅までは運転しない)の運行である。交直流対応車は先ほどの運行も行うが、仏岩山駅から韓国鉄道公社果川線、安山線を経由して烏耳島駅まで直通運転をする運行が基本となる。

1994年までに製造された編成は方向幕を装備していたが、後年発光ダイオード(LED)による表示器に交換されている。方向幕の装置の技術は日本の小糸工業によるものである。当車両の定期検査(重修繕)は3号線紙杻車両基地において行われる。

車両形態概要

1次車

1993年に現代精工にて製造された。直流電化専用の9編成(401~409編成)、交直流両用の13編成(451~463編成)と中間車に2次車を組み込んだ先頭車10両が該当。ソウル特別市地下鉄公社では初となるVVVFインバータ制御とステンレス製の車体を採用した。インバータ装置は三菱電機製のGTO素子が導入されているが、451編成のみ機器更新工事によりタウォンシス製のIGBT素子が導入されている(後述)。

2次車

1994年に大宇重工業にて製造された。直流電化専用の17編成(410~426編成)、交直流両用の8編成(464~471編成)と1次車の10両編成化に伴い新たに製造された12両が該当。基本的な仕様は1次車に準じるが、乗降客用扉が金具押さえ方式に変更され、インバーター装置はGECアルストム製のものに変更された。これには、製造元の一方で1両のみ三菱電機製を搭載する(後述)。一部の編成は機器更新工事により宇進産電製の制御装置に交換されている編成がある(後述)。

2024年12月現在、1/2次車どちらも製造から約30年が経過しており、置き換え車両として4次車と5次車が導入されている。導入に伴い徐々に廃車が進んでおり、2025年に置き換え完了予定。

3次車

2020年に、現代ロテムにて製造された。榛接線開業のため3次車5編成(481~485編成)が追加導入され、2022年に営業運用が開始した。この編成は全て交直流両用である。

車体は従来通りステンレス車体で、帯は青色のみ纏っている。外観は2号線の新2000系4次車とほぼ同一となっており、千鳥配置で扉上部に液晶ディスプレイを2画面搭載している点や、側面も帯の配色を除き同一となっているが、2号線とは異なり交流電化区間を走行することから主要機器や制御装置は同時期に登場した韓国鉄道公社341000系と同様の機器が採用されている。

また、車内のつり革は路線カラーの青色。新2000系4次車で採用された車内妻部に設置されていたLED案内表示器は設置されていない。3次車以降は、座席幅を480mmに拡幅したことにより座席を7人掛けから6人掛けに変更され、座席の材質もFRP製となった。また、2000系4次車と同様の独特の前面形状は、現地の鉄道ファンから「炊飯器」などと比喩されている。

4次車

2023年7月12日に第1編成となる450編成が営業運用を開始した。2023年から2024年にかけてタウォンシスが4次車21編成(450~470編成)を製造し、1993年と1994年に導入された交直流両用の1次車と2次車を置き換え予定。

車体は4号線で初のダブルスキン構造のアルミニウム合金車体となっており、1・2次車と同じく濃い青色と赤色の帯を纏っている。

車内は3次車と同じく扉上部に液晶ディスプレイを千鳥配置で二画面搭載している。また、3次車には搭載されなかったLED案内表示器が車内妻部に搭載されている。また、2号線や3号線のタウォンシス製車両とは違い、カラータイプとなっており視認性が向上している。つり革は3号線のタウォンシス製車両と同様の五角形型のものが採用された。

液晶ディスプレイは、5号線5000系4次車、7号線7000系5次車や8号線8000系3次車に類似したROMとなっている。なお電装品は従来とタウォンシス車と同じくタウォンシス製IGBT素子VVVFインバーターを搭載しているが、電動機は同社で製造された他の車両とは異なる別のメーカーが製造を担当したため、甲高い磁励音が特徴的である。

運用当初は全区間で運行をしていたが、2023年9月2日に451編成が坪村駅で火災事故が発生した。これに伴い4次車の全車両がしばらくの間、運用は直流区間に限定された。その後10月27日に再び交流電化区間の運用も再開し、当該編成の451編成は11月29日に運用に復帰するも、ポムゲ駅で再び故障し当該編成は再び直流専用に限定。2024年2月24日に再び運用に復帰した。

2024年までに1/2次車の交直流車を完全に置き換える予定であったが、製造元のタウォンシスが製造したITX-マウム用車両、西海線車両などの車両納期遅延の余波に伴う納期遅延が発生しているほか、前述した故障に伴うリコールも行われており、完全に置き換えが完了するのは2025年となる予定。

5次車

2024年12月19日に第1編成となる401編成が営業運用を開始した。2024年から2025年にかけて宇進産電が5次車26編成(401~426編成)を製造し、1993年、1994年に導入された直流区間専用の1次車と2次車を置き換え予定。外観のデザインは3つの案の中からソウル市民に調査し、票が一番多かった3つ目の案に決定した。

車体は4次車と同じくアルミニウム合金車体となっており、濃い青色と薄い青色の帯を纏っている。外観は宇進産電で製造された5号線5000系4次車、7号線7000系5次車、8号線8000系3次車に類似しているが、こちらは車体高(屋根)が150mm高い。

引き続き宇進産電製の車両で採用例のある東芝原設計の全閉自冷式永久磁石同期電動機(PMSM)を採用。なお、元ソウルメトロ路線でのPMSM採用車は、初となる。

6次車

混雑緩和のため2027年より1号線1000系3次車、8号線8000系5次車と合わせて3編成(編成番号不明)が導入される予定。

編成表

ソウル交通公社の編成番号は、4桁の車号のうち号車を意味する百の位を除く3桁で表現する。(例:1号車が4001である編成=401編成)

  • 現行

凡例

  • 搭載機器:搭載機器など
    • CI(Converter・Inverter):主変換装置(コンバータ装置 VVVFインバータ装置)
    • CP:空気圧縮機
    • Mtr:主変圧器
    • SIV:静止形インバータ
    • BT:蓄電池
  • 車両番号装飾
    • 4000:直流専用車
    • 4000:交直流車
    • 4000:状態不良車差し替え車
    • 4000:廃車
    • 4000:休車

配属

全編成倉洞車両事業所に配属されている。

改造工事

落成後、以下の改造工事が行われている。

10両編成化

交直流型の456~468編成は当初6両編成で落成したが、安山線および果川線の10両編成化に伴い1993年から456~468編成に中間車を増結し10両編成化した。これには464~468編成の中間車を456~463編成に組み込むことで対応した。

内訳は、456~460編成には464~468編成の中間車を3両(2(M)/3(M)/4(T)号車)を組み込み、不足する1両は大宇重工(2次車)で新造。461編成は464/465編成の中間車をそれぞれ1両(5(M)号車)組み込み、不足する2両は大宇重工で新造。462編成は466/467編成の中間車をそれぞれ1両(5号車)組み込み、不足する2両は大宇重工で新造。463編成は468編成の中間車を1両(5号車)組み込み、不足する3両は大宇重工で製造。この組み込みに伴い、先頭車2両のみ残存した464~468編成には、大宇重工製の中間車を8両製造することで10両編成とした。

以上の製造により、456~468編成は1次車と2次車が混合した編成となる。うち463編成の新造した1両(8号車)はM車であり、1次車との機器の共通化を行うために大宇重工製でありながら、三菱電機製の制御装置を採用した特異的な車両となった。また、464~468編成は大宇重工製の中間車と現代精工製の先頭車が混合した車両となった。

台車の交換

電動台車(大宇重工業製)の一部に構造的な欠陥が発見されたことから、2001年に新造品と交換された。

内装の不燃化改造

2003年2月に発生した大邱地下鉄放火事件を受けて、2004年から2005年にかけて全編成を対象に内装の張り替え(不燃化改造)が実施された。同時に火災警報器と非常通報装置が設置された。

自動放送装置の交換

落成当初の車内自動放送装置(ROM方式)が老朽化したことから、2008年2月に新品(MP3方式)に交換され、車内放送の高音質化が図られた。

交直切替器の自動化

50番台に搭載されている交直切替器は当初、運転士が手動で操作していたが、2008年から装置が交換され自動で切り替えられるようになった。

側面方向幕の使用停止

ホームドアの設置に伴い、車体側面に設置されていた方向幕は不要となったことから使用が停止され、ソウル交通公社のロゴが張られている。当初は直流区間専用の0番台のみが対象であったが、直通先の安山線と果川線においてもホームドアの設置が完了したことから、交直流型の50番台も側面方向幕の使用が停止された。

前面方向幕および列車番号表示器のLED化

2016年以降、先頭車前面の方向幕および7セグメント方式の列車番号表示器はLEDによる表示器に交換されている。2021年5月までに休車車両を除く全車両がLED表示器に換装された。

自転車搭載スペースの設置

2009年、451~455編成の先頭車を対象に、自転車を搭載するためのスタンドが設置された。

インバータ装置の更新工事

2013年に451編成と466編成のVVVFインバータ装置が老朽化した為、451編成はタウォンシス製、466編成は宇進産電(東芝)製の装置に更新された。いずれも、素子にIGBTを採用した。また、2017年にも一部編成を機器更新工事が行われた。2018年より故障も多発している為、2019年より1次車と2次車の全編成を対象に機器更新工事を行う予定であったが、継続する状態不良車の発生により機器更新を断念し、新車導入に計画を変更した。

休車

2018年より故障が頻発している416、465および468編成が休車となり、中間車の一部が他編成の状態不良車両と差し替えられている。また、一部の状態不良車両は廃車されている。

休車

ギャラリー

脚注

関連項目

  • 韓国の地下鉄
  • 首都圏電鉄
  • ソウル交通公社
  • 首都圏電鉄4号線
  • ソウル特別市地下鉄公社1000系電車 (2代)

ソウル市地下鉄公社 1000系(改造型) 鉄道車輌 > ソウル地下鉄公社の電車 My Stamp Album

【4K】ソウル交通公社(ソウルメトロ)2号線 聖水支線 2000系1次車・4次車[現代ロテム製IGBTVVVF(三菱電機技術供与)]到着

【4K】ソウル交通公社(ソウルメトロ)3号線 3000系増備車(タウォンシス製IGBTVVVF)、3000系、KORAIL3000系 到着

全区間走行音 GECアルストムGTO ソウル交通公社4000系 4号線普通列車 당고개→사당 YouTube

ソウル地下鉄公社は「ソウルメトロ」へ