カモメ(鴎、Larus canus)は、鳥綱チドリ目カモメ科カモメ属に分類される鳥類。
分布
夏季にユーラシア大陸北部やカナダ西部、アラスカ州などで繁殖し、冬季になるとアフリカ大陸北部やヨーロッパ、ペルシャ湾沿岸部、アメリカ合衆国西部、中華人民共和国東部などへ南下し越冬する。日本では主に亜種カモメが冬季に越冬のため飛来(冬鳥)するが、亜種コカモメが飛来した例もある。
形態
全長40 - 46センチメートル。翼開張110 - 125センチメートル。頭部や体下面の羽衣は白い。背中や翼上面は青灰色の羽毛で被われる。尾羽の色彩も白い。初列風切の色彩は黒く、先端に白い斑紋が入る。
嘴は小型で細い。後肢は細い。嘴や後肢の色彩は灰黄緑色や黄色で、嘴先端に不明瞭な黒い斑紋が入る個体もいる。
幼鳥は全身が灰褐色の羽毛で被われ、肩を被う羽毛や翼上面の外縁(羽縁)が淡褐色。和名は幼鳥の斑紋が籠の目(かごめ→カモメ)のように見える事が由来とされる。尾羽の先端が黒い。嘴は黒い。後肢の色彩は淡ピンク色。
夏季は頭部から頸部にかけて斑紋が無く(夏羽)、冬季は頭部から頸部にかけて淡褐色の斑点が入る(冬羽)。
分類
以下の亜種の分類・分布(繁殖地)は、IOC World Bird List(v 10.2)に従う。和名は日本鳥類目録 改訂第7版に従う。
- Larus canus canus Linnaeus, 1758
- アイスランド・ブリテン諸島・白海で繁殖する
- Larus canus brachyrhynchus Richardson, 1831 コカモメ
- カナダ西部・アラスカ北部で繁殖する
- 外側から3枚目の初列風切先端に白い斑紋が入らない。
- Larus canus kamtschatschensis Bonaparte, 1857 カモメ
- シベリア南東部で繁殖する
- 外側から3枚目の初列風切先端に白い斑紋が入る。
- Larus canus heinei Homeyer, 1853 ニシシベリアカモメ
- ロシア西部からシベリア中部で繁殖する
生態
沿岸部や河口、干潟などに生息する。同科他種と混群を形成する事もある。
食性は雑食で、主に魚類やオキアミ、カニなど、陸地では穀類から果実など。
繁殖様式は卵生。集団繁殖地(コロニー)を形成する。沿岸部の岩礁や草原などに巣を作り、卵を産む。生後3年で成鳥羽に生え換わる。
名称
カモメを指す英語のmew、ドイツ語のMöwe、オランダ語のmeeuw等はゲルマン祖語*maiwazに遡るが、おそらく当時の借用語でありインド・ヨーロッパ祖語起源ではない。
中国語のōuに対する漢字表記「鴎(鷗)」は、発音を表す「区(區)」と意味を示す「鳥」からなる形声文字である。
画像
脚注
出典
関連項目
- ガル翼




